
2020年10月28日公開
タレントマネジメントとは?強いチームは適切な人材配置で決まる
タレントマネジメントが上手くいくと、チームに優秀な人材が増える。
本当にそんなことができるなら今すぐに取り組みたい、ただどうすれば今の組織に上手く落とし込めるかわからない。
「強く根付いた慣習が弊害となり、若手が育たないという悩みを抱えている」
「一人ひとりの要望・主張が強すぎてチームがまとまらない」
「優秀な人材がやめていく」
このような悩みを解消したいと思っていれば、タレントマネジメントのノウハウを活かしてみてください。
ABEMATVやアメブロでおなじみのサイバーエージェントも、タレントマネジメントを導入して1000人を超える従業員のモチベーション維持に活用しています。
本記事では、タレントマネジメントをテーマに、下記の3つの項目を中心に学んでいただけるよう構成しました。
・具体的な導入方法
・タレントマネジメントの導入事例
年功序列のような古い慣習から脱却し、優秀な人材が活躍する組織づくりのヒントをお届けします。
目次
タレントマネジメントとは?
まずは、タレントマネジメントの基本を確認していきましょう。
タレントマネジメントの目的
タレントマネジメントの目的は2つです。
・最適化した人材配置、育成を行い、未来を担うリーダー候補を育てること
・従業員一人ひとりが高いパフォーマンスを発揮できる環境を整えること
これらの目的を達成するために、以下の項目を実行していきます。
・必要な人材を集める
・人材を育成する
・個人のパフォーマンスを最大化する
・人材の定着を図る
それぞれの項目について、解説していきます。
必要な人材を集める
タレントマネジメントでは人材の配置が重要です。
そのため、まずは組織図を見直しを行います。この時にポイントになるのが個人の能力や強みに合わせて適材適所に人材を配置することです。
このようにして、必要な場所に必要な人材を集めることで、組織力を強化します。
人材を育成する
タレントマネジメントの考え方による育成とは、本人の望むキャリアプランを尊重することです。
そうすることで、個人のモチベーションを継続的に維持させ、自主的な成長を促します。
そのため、自分の希望を伝えても問題ない環境づくりと、本音が言える関係性を築いていく必要があります。
個人のパフォーマンスを最大化
タレントマネジメントでは、社員一人ひとりが自分の強みを知り、組織の目的を知ることが重要です。そのうえで、自分が何ができるかを自主的に考えるように促していきます。
このように自己を尊重された従業員は、自分が持っているパフォーマンスを最大化し、ミッションに取り組めるようになります。
人材の定着をはかる
個々のモチベーションが高い組織は成果を出すことに貪欲に取り組みます。また、常にチャレンジを続けるチームは、取り組む仕事に自然と誇りを持つでしょう。
また、個人のキャリアプランに基づいて配属を行うため、自分の目指すキャリアを実現できると考え、前向きに業務に取組ようになります。
このようにすることで、ミスマッチやモチベーションの低下による離職を防止できます。
タレントマネジメントが注目される背景
タレントマネジメントが注目される背景は主に2つあります。
個人の尊重
インターネットを通じて、さまざまな情報を仕入れることができるようになりました。
そのため、昔と違い今は、個人が企業を比較し、自分に合う会社を選択する時代です。一昔前に比べフリーランスが当たり前になったように、企業に属さず独立して働く人も増えています。
このように個人志向が高まった今は、これまで通りの指導、教育をしていては新しい人材は伸びずにやめてしまいます。
だからこそ、一人ひとりの可能性を引き出すタレントマネジメントが注目されているといえるでしょう。
終身雇用制度の終わり
日本を代表する企業トヨタの豊田社長が、2019年5月13日に開かれた日本自動車工業会の会見にて
と発言し話題となりました。
その後、コロナ禍に巻き込まれた今、45歳従業員の早期退職募集など、正社員で働いていれば生活は安泰という常識はもうありません。
雇う側も従業員一人ひとりに目を向け、どんな人材が必要なのかを日々考えています。
このような時代背景から、企業が生き残っていくために、本当に必要な人材を求め選別する必要があります。そのためには、既存の人事の仕組みを見直さなければなりません。
タレントマネジメントで強いチームをつくる3つのポイント
タレントマネジメントで強いチームをつくるには3つのポイントは、以下の通りです。
タレントマネジメントで強いチームをつくるには3つのポイント
・戦略人事を行う
・個人のパフォーマンスを最大化する人材配置を行う
・リーダーを育成する
それぞれのポイントについて解説します。
戦略人事を行う
大きな枠である経営理念や事業戦略に沿った人事のことで、経営と人材の両方の戦略を両立させる考え方です。
タレントマネジメントで強いチームをつくるには、人事が経営者の目線をもって実行することが求められます。
戦略人事に関しては、『戦略人事とは?目的や事例を通し今すぐ取り組める方法を身につけよう』を参考にしてください。
個人のパフォーマンスを最大化する人材配置を行う
タレントマネジメントでは、どの場所でも個人パフォーマンスの最大化ができる人材配置を目指します。
管理者と従業員が本来の力を発揮できるかを配置後も見届け、上手くいっていないところは、その都度改善をします。
リーダーを育成する
タレントマネジメントで一人ひとりの適性を見極めるなかで、リーダー候補となる人材の育成も必要です。
リーダー候補となる人材は早期に選抜し将来のキャリアプランを話し合い、育成される本人もリーダーになるという自覚を持たせるようにしましょう。
タレントマネジメントを浸透させる手順
人材の力を最大限に活かし、チームを強くするのがタレントマネジメントです。具体的にどのようにして浸透させるのか、その手順を解説していきます。
導入のステップ
タレントマネジメントの導入は、下記の4つのステップで実施します。
タレントマネジメントの導入の4つのステップ
ステップ1:【準備】経営・戦略・導入の目的を明確にする
ステップ2:【採用】人材・役割・システムを決める
ステップ3:【実行】人材の配置・育成プランの実行・社内通知
ステップ4:【検証】モニタリング・最適な配置・環境の再整備
この4つのステップを繰り返しながら、PDCAサイクルを回していきます。ここでは、それぞれのステップについて解説します。
【準備】経営・戦略・導入の目的を明確にする
新しい概念、マネジメントの目的を明確にします。例えば、本記事のテーマのように強いチームをつくるなどです。
【採用】人材・役割・システムを決める
導入の目的が明確になったら、そのために必要な人材と役割、育成プランの作成を行います。また、目的にマッチするシステムがあれば、この段階で採用を決定してください。加えて、新しい人材採用もこの段階で行います。
【実行】人材の配置・育成プランの実行・社内通知
準備したプランや人材を、実際の現場に投入します。
大きな組織になればなるほど社内全体へ浸透するのに時間がかかってしまうでしょう。 特に人事評価に関係する部分はベテラン社員ほど受け入れるのが難しいです。
個々の評価を適切に行うことでチームが強くなる、強くなることで事業が発展。その結果、自分たちにも還元されると認識されるまで、メッセージを発信し続けましょう。
【検証】モニタリング・最適な配置・環境の再整備
プランニング通りに進んでいるのか?この段階で検証します。
社員のパフォーマンスを最大化させることが、タレントマネジメントの目的です。
もし、上手く計画が機能していないなら、積極的に改善をしていきましょう。
この4つのステップを踏んで、社内に浸透するまでは根気よく取り組んでいきましょう。大切なのは動き出してからのデータ取得、そして検証と調整です。
フレームワークを活用しよう!
有名なフレームワークにPDCAサイクルというものがあります。
Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)の頭文字をとって、PDCAと呼ばれ、あらゆるビジネスシーンで活用されています。
タレントマネジメントを実践していくなかで、PDCAのようなフレームワークは、自分たちの思考を助けてくれます。そのため、上手く活用していきましょう。
PDCAの他にも、このASTDが提唱するフレームワークでひし形モデルというものがあります。ASTD=米国人材開発機構(American Society for Training & Development)は人材開発と訓練を目的に設立された団体です。
ひし形モデルでは、下記の8つの視点のバランスを取りながら、タレントマネジメントを運用することを推奨しています。
ひし形モデルの8つの視点
・人材獲得
・キャリア開発
・評価
・後継者育成計画
・組織開発
・業績管理
・チームと個人の育成
・人材定着
これらのフレームワークは、社内にタレントマネジメントの考え方を浸透させるのにも役立ちますので、是非活用しましょう。
タレントマネジメントシステムを使う
タレントマネジメントの採用と社内への浸透は簡単なことではありません。そこで、オススメなのがシステムを導入することです。
タレントマネジメントシステムとは
端的にいうと、従業員のデータ化ができるシステムです。
人数が多くなればなるほどシステム化しなければ対応は難しくなります。 個々を把握して人材を評価し、育成や最適な配置をしていくことが、タレントマネジメントの肝です。
そのため、大規模なタレントマネジメントを行うのであれば、システムの導入を検討しましょう。
タレントマネジメントシステムの主な機能
タレントマネジメントシステムの主な機能は3つです。
タレントマネジメントシステムの主な3つの機能
・データベース
・できるタレントの特性情報
・人事評価、管理機能
それぞれの機能について、解説します。
データベース
全従業員の基本情報、実績、本人の特技などあらゆる情報を一括管理できます。本人のスキル、実績をデータで見える化することで、適切な人材配置が可能です。
できるタレントの特性情報
コンピテンシー情報と呼ばれ、実績や高い成果に繋がる行動特性のことです。仕事ができる従業員を分析し、どうすれば仕事ができるタレントになれるのかを明らかにします。
人事評価、管理機能
一定の評価基準のもと、AIによってスコアリングされます。人事で大切な評価の部分に、客観性の高い平等な基準を設けることで、評価される側も納得して取り組むことが可能です。
タレントマネジメントの導入時に注意したい2つのポイント
導入時に注意したいポイントを2つです。
タレントマネジメントの導入時に注意したい2つのポイント
・手段の目的化をしない
・成功の鍵は上司しだい
それぞれのポイントについて、解説します。
手段の目的化をしない
タレントマネジメントを導入して浸透させることが、そのまま目的になってしまわないように気をつけましょう。
あくまでも目的はタレントマネジメントを導入して、強いチームをつくることです。
タレントマネジメントを導入した結果、本当に求めている成果に繋がるように、常に意識して行動することが大切です。
成功の鍵は上司しだい
もう一つはタレントマネジメントが成功するかどうかは、推進する上司、いわゆる先導するリーダーの力しだいです。
配属された従業員たちは与えられた場所で最大限の努力をします。
運用する立場の人間が新しい人事マネジメントで正当に評価し、改善をはかっていくことが必須です。それにより、個人のモチベーションが上がり、維持できます。
タレントマネジメントの活用事例
実際に自社でタレントマネジメントを導入した場合、どのようになるのか?イメージしていただくために、株式会社サイバーエージェントの事例を紹介します。
株式会社サイバーエージェントの事例
2013年、社員が1000名を超えてきた結果一人ひとりの顔が見えにくくなったという話がでたことをキッカケにタレントマネジメントの導入が始まります。
適材適所を実現するため、社員の正確な情報をするため独自のアンケートシステム「GEPPOゲッポウ」にてアンケートを回収、回答率は96~97%で数%の未回答者へはヒアリングを行うのでほぼ100%の回収率でした。
このアンケートで集めた1000名の声を集約し、適切な人事評価に活かしています。 詳細については、参考記事をご覧ください。
▼参考記事 「才能開花」と「適材適所」を実現するサイバーエージェントのタレントマネジメント
まとめ
タレントマネジメントで適切な人材配置を行い、強いチームをつくるための考え方や具体的な導入ステップなど解説してきました。この記事では、下記に内容を中心にタレントマネジメントについて解説しました。
・タレントマネジメントの目的
・具体的な導入方法
・タレントマネジメントの導入事例
タレントマネジメントは欧米型で、日本型の人事マネジメントとは相性が悪いといわれてきました。
しかし、コロナ禍の影響で、日本の企業を古い慣習を捨てようとしている動きが多く見られます。 新しいマネジメントシステムを導入するにはタイミングが重要です。
この機会を逃さず、本気で仕組みを変えたいなら、まずはプロに相談するところから始めてみましょう。